相国寺承天閣美術館

企画展

いのりの四季-仏教美術の精華

2020年11月1日(日)~2021年1月17日(日)

いのりの四季-仏教美術の精華

2020年11月1日(日)~2021年11月17日(日)

概要

相国寺は一三九二年に室町幕府三代将軍、足利義満によって創建された禅宗寺院です。室町時代から現在に至るまで、京都御所の北に寺域を有し続け、金閣寺、銀閣寺といった山外塔頭も独自の存在感を誇ってきました。
この六百年、相国寺は京都にあり、変わらず祈りの場として四季が巡ってきました。相国寺ではとりわけ六月の観音懺法、そして十月の開山忌が盛大にとりおこなわれます。その仏教儀礼は現在も厳修され、季節の移ろいを感じさせる年中行事としても、京の人々の心に刻まれてきたのです。
寺院に伝来する宝物は、それぞれ祈りの場で必要とされたものたちです。鑑賞するためではなく、仏を、祈りを荘厳するために求められた宗教芸術です。本展観では、相国寺に連綿と続く仏教行事に焦点を当て、承天閣美術館に収蔵されている宝物がどのように各儀礼を荘厳してきたのかをご披露いたします。

展示構成

第一章春 かんのうせんぼう

毎年六月十七日に相国寺では観音懺法が厳修されます。俗に、相国寺の「声明面(しょうみょうづら)」と称されるように、相国寺は、お経に節づけて奏でることを得意としてきました。観音懺法はその声明が伝わる代表的な儀礼です。
中世より記録の残る観音懺法は、白衣観音を本尊とし、罪を懺悔する法要です。江戸時代には、後水尾院の仙洞御所で相国寺僧が儀式を行ったこともあります。その折の法具を中心に、連綿と現在に続く法要の世界を、寺宝からご体感ください。

[ 主要展示作品 ]
観音図 伝牧谿筆 三幅のうち一幅 南北朝時代 相国寺蔵
後水尾天皇御寄附状 一幅 江戸時代 相国寺蔵
観音図 狩野探幽筆 猿猴図 狩野尚信・安信筆 三幅対 江戸時代 相国寺蔵(※画像1)
華皿、胡銅蟠龍文三具足他
〈特別出陳〉布袋像 後光明天皇宸筆 一幅 江戸時代 慈照院蔵
〈特別出陳〉昕叔顕晫頂相 一幅 江戸時代 慈照院蔵
〈特別出陳〉本源国師 国師号勅書 後西天皇宸筆 一幅 江戸時代 慈照院蔵
観音三十三変相図 文室宗言筆 三十三幅のうち三幅 江戸時代 相国寺蔵

第二章秋 かいさん

相国寺は足利義満によって、明徳三年(一三九二)、創建されます。義満は相国寺創建に尽力した禅僧、春屋妙葩を開山として招じましたが、春屋は固辞し、既に没していた師であり自身の叔父である夢窓疎石を第一世としました。その勧請開山である夢窓疎石、第二世春屋妙葩、そして開基である足利義満の尊像などがまつられた開山堂では、毎年十月二十一日、開山忌が盛大に厳修され、その遺徳を偲びます。

[ 主要展示作品 ]
夢窓疎石頂相 自賛 一幅 南北朝時代 相国寺蔵(※画像2)
〈修理記念特別公開〉開山堂勅額 
夢窓国師像 尭恕法親王筆 普明国師像 足利義満像 探幽筆 三幅対 江戸時代
相国寺蔵
中維摩居士左右雲龍図 狩野洞春筆 三幅対 江戸時代 相国寺蔵(※画像3)
縄衣文殊図 雪礀筆 了庵清欲賛 一幅 元時代 相国寺蔵

第三章寺院を荘厳する花鳥風月

寺院は仏をまつる空間を中心に成り立っていますが、障壁画や伝来の屏風、掛け軸などには、様々な風景、生き物たちが描かれています。その愛くるしい姿もまた、この世界全てのものが仏であるという仏教観を伝えます。

[ 主要展示作品 ]
重文 竹林猿猴図屏風 長谷川等伯筆 六曲一双桃山時代 相国寺蔵(※画像4)
朝顔狗子図 円山応瑞筆 一幅 江戸時代 相国寺蔵(※画像5)

第四章仏教美術の精華

寺院では四季を通じて様々な法要がとりおこなわれます。その折々に、方丈、書院など寺院内の各所に仏画を中心に荘厳された空間が整えられます。正月の修正会には釈迦十六善神像、二月の涅槃会には涅槃図……伝来の仏教美術の精華をここにご覧いただきます。

[ 主要展示作品 ]
重文 十六羅漢図 陸信忠筆 十六幅 元時代 相国寺蔵
釈迦十六善神像 原在中筆 一幅 江戸時代 相国寺蔵(※画像6)

見どころ

見どころ 1後水尾院の仙洞御所で行われた観音懺法

江戸時代前期、第一〇八代天皇の後水尾院は譲位の後、相国寺の禅僧、昕叔顕晫(きんしゅくけんたく)を導師として出家をはたします。後水尾院が特に強い関心を抱いていたのが、相国寺の観音懺法です。正保二年には、懺法法具一式を相国寺へ寄進し、仙洞御所で相国寺僧による観音懺法を執り行いました。その折の法具は、その後相国寺の観音懺法で用いられ続け、一部の法具は現在も法要に用いられております。本展では現存する後水尾院寄進法具を可能な限り展示いたします。

見どころ 2修理記念特別公開 開山堂勅額

令和元年、相国寺開山堂内の扁額が取り外され、修理が行われました。この展観期間のみ、特別にその扁額を展示室で間近にご覧いただけます。この展観が終わると再び開山堂の檐の上に掲げられ、遠くから眺めることしかできなくなります。さらに後水尾院の勅額は、その下書きである天皇宸筆の書も同時に展示いたします。この貴重な機会にぜひ、ご覧ください。

見どころ 3重要文化財の陸信忠筆十六羅漢、全十六幅を一挙公開

相国寺には、多くの仏教美術の名宝が伝来いたしますが、今回はその中でも選りすぐりの作品群を展示いたします。なかでも、相国寺所蔵の重要文化財、十六羅漢図は中国・元時代に陸信忠によって描かれた作品で、今回は十六幅全てを一堂にご覧いただきます。

重文 十六羅漢図 陸信忠筆 十六幅 元時代 相国寺蔵

基本情報

日時
2020年11月1日(日)~2021年1月17日(日)
10:00~17:00(入館は16:30まで)
会期中無休

※但、2020年12月27日(日)〜2021年1月5日(火)は年末年始休館

拝観料
一般 800円
65歳以上・大学生 600円
中高生 300円
小学生 200円

※春季に配布いたしました招待券をお持ちの方はそのままご利用いただけます。

主催
相国寺承天閣美術館、日本経済新聞社、京都新聞
協賛
一般財団法人 萬年会
協力
MBS

関連イベント

スライドトーク

「相国寺の儀礼と宝物」

講師
当館学芸員 本多潤子
日時
2020年 11月21日(土)14:00〜14:30
2021年 1月9日(土)14:00〜14:30
開場
13:30
定員
先着30名
※講演会の参加は無料ですが、展覧会の鑑賞券が必要となります。

プレスリリース

  • 2020年10月5日

    『いのりの四季-仏教美術の精華』のプレスリリースを公開いたしました。